とっても今更ですが、凄い本に出会いました。 情報処理学会誌のビブリオトークで紹介されていた「データの見えざる手」、 帰りに池袋三省堂で100頁ちょっと立ち読みしたら止まらくなっちゃって、 もう本を買うのはやめようと思ってたのに、買っちゃいました。 もう出版から4年経って手軽な文庫になってましたし。 発刊が2014、文庫化が2018年、でも内容は古くない、 というか聞いたことなかったです。 このdog yearな技術進歩の中で! 調べてみると論文として出してないでClosedだって言ってましたから、 そのせい?
この本の凄いのは、data分析に留まらず、 「幸せは、加速度センサで測れる」と喝破しているところ。 そういう考察まで進めるというのが、そこらのAI、big dataの話と 違うところ、です。 (よく見ると、「組織の」happiness?)
その中で、 今週あったよかったこと3つを10分で書き出すと happiness levelが高まった、という話がありました(p.81)。 3つ書き出す手法自体は共同研究者でHappinessの心理学(Positive心理学)が専門で The How of Happiness: A Scientific Approach to Getting the Life You Wantの著者 リュボミルスキ(リュボミアスキー)教授の ものだそうですが、 それをwearable sensorの比較実験で裏付けたと。 そして言います。
人のハピネスは、意外に小さなことが決めていることが実証された。(p.82)
あぁ、でもよく読むと、
- 幸せは、およそ半分は遺伝的に決まっている
- 驚くべきことに、これら環境要因をすべて合わせても、幸せに対する影響は、全体の10%にすぎない
- 残りの40%は何だろう。...たとえば、人に感謝を表す、困っている人を助けてあげる、という一見簡単なことでも、実はハピネスは格段に高まる
といった辺り(p.72〜74)は、ポジティブ心理学の成果なんですね。
なるほど、要するに、 こういった心理学(や経営学?)の成果を、 アンケートではなくwearable sensorによる行動履歴から実証した、 更に押し進めて、人間行動もmassの視点から見ると一般の物理法則に従う、 と主張しているものなんですかね。 あ、いや、コールセンタやホームセンタの話などは、 兎に角やってみたらわかった、という話ですか。 だから「仮説を立てることも学習できるマシンに任せた方がいい」 ([どっちが最強!? 物理学VS統計学——矢野和男×西内啓 対談 データ分析で「過失」という概念が進化を遂げてしまう?])のですね。 (但しGoalは人間が設定する必要がある、と)
まぁいいです。 「幸せ」になるために、ぼくも3つ、書き出してみましょう。 * 転職して3週間、研修とは言えsource codeが書けたこと(でも今更AngularJSとは... 昔取った杵柄とはいえ) * 会社の初詣・昼食会でお昼ご飯がタダだったこと(家計が助かります... でも周囲とはまだまだ馴染めず) * 金曜昼の会社の食事会でタダ飯が食べられたこと(家計が助かります... ご飯のことばっかり。でもそれって大事ですよ) あれ? オチは付けちゃいけないんですかね?
あとは「mindfulness」、寝る前の瞑想深呼吸でしょうか。
あぁ、幸せ。
...ホント?!
何の心配もなく寝ていれば、それで幸せ、デス。
って、死んでるのと然程変わらないのでは。
...あー、これも、〔ポジティブ心理学〕「意図的行動」で仕事の幸せ度を上げる方法によると、 それぞれの「よいこと」について、「なぜ起きたのか」「どんな意味があるのか」「自分/他人がどんな働きかけをしたからか」「もっと得るためにはどうしたらよいか」を書き加えるそう。 うーむ、幸せへの道はそう容易くはないのですね。 そういえば随所に書かれてますか。 幸せとは能動的なもので受動的なものではない、と。 HappinessというよりWell-being?
矢野さん related links
- 人間の行動を支配する隠れた法則とは——『データの見えざる手』矢野和男インタビュー 【 前編】人間を測る新しいものさしの誕生
- 人間の行動を支配する隠れた法則とは——『データの見えざる手』矢野和男インタビュー 【 中編】人間はエネルギー保存則から逃れられない!
- 人間の行動を支配する隠れた法則とは——『データの見えざる手』矢野和男インタビュー 【 後編】体を動かすと幸福に、幸福になると生産性が上がるという事実
- どっちが最強!? 物理学VS統計学——矢野和男×西内啓 対談
- どっちが最強!? 物理学VS統計学——矢野和男×西内啓 対談 「人の行動を自発的に変えることを命令する」という矛盾のそばで
- どっちが最強!? 物理学VS統計学——矢野和男×西内啓 対談 人生はお金と時間と制御資源のマネジメントである
- どっちが最強!? 物理学VS統計学——矢野和男×西内啓 対談 データ分析で「過失」という概念が進化を遂げてしまう?
- どっちが最強!? 物理学VS統計学——矢野和男×西内啓 対談 コンピュータもデータも、最終的に人間中心であるべきである。
- データの見えざる手--ウェアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則 「知り合いの知り合い」が増えると仕事がうまくいく!
- 人工知能”Hくん”はものすごく少ないデータで学習し、最適解を導く(日立 矢野)【K16-1A #6】
- 組織のハピネスは加速度センサーで測れる(日立 矢野)【K16-1A #7】
- 人工知能が生む出す新たな職業「AIer」とは何か?【K16-1A #8】
- 日立の人工知能とは
Hくん、今はLumadaになっているようですね。