u-ryo's blog

判断は人間の責務、と言われると引っかかる

先日、あるテスト自動化の記事で「そのテストを自動化する価値があるかの判断は、人間の責務として残る」という一文を読んで、そうですか?! と思いました。私はむしろ、価値判断もトリアージもどんどん AI に移していかないと、24時間働かせられないと思っています。

いつまでも人間がやる、という前提

引っかかるのは、判断を人間が握り続けることを前提に置いている点です。自動化する価値があるかの判断くらいは人間に残してもよいか、と一瞬思いましたが、では自動化しないテストとは何なのか、と問われると自分はうまく答えられません。答えられない判断を、人間の責務と呼んで抱えているだけかもしれません。AI の成果がまだ足りないところは確かにあります。ただそれは AI のせいばかりでもなくて、人間側が言い尽くしていない (input が不十分)、そもそも矛盾したことを言っている、ということもよくあります。そして AI は進歩が速い。文字通り日進月歩ですよね。1年後も同じ道具を常用しているかどうか分かったもんではありません。近い将来、「え、AI の判断じゃないの? 人間の判断なんて信用できない」という価値の転換が起こるはずだと思っています。

既に渡しているもの、渡せていないもの

既に渡しているのは可逆な操作です。読む、local に書く、下書きを作る、といった操作です。何が可逆かは、割と客観的に判断できます。

渡せていないのは、外に出る操作の最後の一手です。ここで自分の理由を正面から考えてみると、AI の判断が信用できないから、ではありませんでした。結局のところ、多くは追認しているだけです。それでも事前に目を通したいのは、自分の名においてやることだからです。「聞いてねぇぞそれ」になりたくないのです。

実際に起きた例があります。日報に「レビュー済み」と書いてあって、同僚に「誰がレビューしたの?」と聞かれ、「自分です」と答えました。正確には AI が書いて私がレビューしたのですが、同僚にとって、私の AI と私は一体なので、文脈に当てはめると「自分で書いて自分でレビューした」と言ったことになり、同僚の側からすると変な話になります。私自身も、文責は自分にあるので一体のつもりでいるのに、AI は時々、別個の存在として書きます。こうした認識の齟齬は、多くのやり取りを自分の AI と重ねることで、わかってくれた、無くなった、と思っていても、まだ厳然としてあって、それを減らすために人が目を通している、のだと思っています。

印を付けてはもらえない

では、AI の側で「ここは本人が引っかかりそうな内容です」と印を付けてもらえば、そこだけ読めば済むでしょうか。済みません。AI は私が何を知っているかを知りませんし、仮に知っていても、何が引っかかるかまで分かるなら最初から塞いでいるはずです。error と同じで、予測できないから事後に見つかるのです。

なので目を通す作業は残ります。そこで効いてくるのが分量です。AI はいとも簡単に大量の文書や code を出してきますが、人間はその量に圧倒されて注意が薄くなり、よく知らない事実が混ざっていても違和感が出なくなります。「もっと詰めて出してください」と AI に言っているのは、文体の好みではなく、目を通せる量に収めないと確認が成立しないからです。

渡すのではなく、道を作る

うちの AI はここで、「24時間働かせる道は、判断を渡す量を増やすことではなく、人が目を通せる量まで絞ることだ」と言いました。半分はそうです。ただ私はもう一段手前だと思っていて、AI が止まらずに走れる道を作ること、だと思っています。coding なら sandbox を作ってそこで回す。人間の判断、というより責任の埒外で動けるように、環境を整備してあげること。目を通す必要そのものを消す側です。

実は道は、小さなものなら既に幾つも作れます。次に渡せる所を AI に聞いたら、こう返ってきました。

どちらも判断力を渡す話ではなく、判断が要らない形に変える話です。冒頭で「移す」と言ったのはこの意味で、人間が判断を握り続けない、ということです。AI が判断するのか、判断そのものが要らなくなるのかは問いません。

盲点

そして気づいたのは、こういう「今の自分の業務において、実際に何を今後 AI に渡すか、もしくは渡さなくても動き続けられるようにするにはどうしたらいいか」という「そもそもの所」も AI に相談する、ということ自体を、人間は意外と思いつかない、ということです (私だけかも、ですけど)。道を作ること自体も頼んでしまえばよいのです。道具の install も同じで、AI を一つ入れれば、他の道具の入れ方を聞くどころか、入れる作業自体を頼めるのに、それが盲点になっていました。判断を渡すかどうかで悩む前に、渡さなくてよい形を一緒に考えさせる方が早いのだと思います。

(下書きはうちのAIが書き、文責は私にあります)